摩擦摩耗試験機の種類【治具・付属品】

摩擦摩耗試験機には、様々な治具や付属品があります。

この記事では、主な治具や付属品について解説していきます。

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平面圧子

平面圧子は、平面状になった圧子のことで、30mm平面圧子がよく使用されます。

摩擦摩耗試験の公的規格の1つとしてASTM D 1894の「Standard Test Method for STATIC AND KINETIC COEFFICIENTS OF FRICTION OF PLASTIC FILM AND SHEETING」があります。
この試験には、専用の平面圧子が使われます。
ASTM用の圧子の接触面積は63.5mm×63.5mm(2.5inch×2.5inch)と規定されています。
平面圧子は、フィルムなどを測定するための治具ですが、板材などを両面テープで貼って測定するケースもあります。

引掻針

引掻針は、各種素材の引掻強度及び各種膜、塗料膜などの付着性を評価するときに使われます。
材質には、主にサファイア製とダイアモンド製があります。

サファイア針は、フィルム、紙、ゴム、樹脂などの柔らかいサンプルの引掻き試験に使用されます。サファイア引掻き針を用いた試験規格にはJIS K 6902や、ISO12137-1997などがあります。サファイア針は、使用とともに先端が徐々に摩耗するので、顕微鏡などで先端の摩耗が起きていないかを定期的に確認する必要があります。

ダイアモンド針は、金属、セラミックス、鍍金、硬質被膜の引掻き試験に使用されます。ダイアモンド針には、摩耗を起こさないかわりに、寿命がくると砕けて粉々になってしまう特性があります。

ブレードホルダー

ブレードホルダーは、OA機器の感光ドラムにあるトナーの掻き取りブレードや、自動車のワイパーとガラスとの摩擦測定などに使用される治具です。
ブレードホルダーには、角度違いやバンパー構造付属のもの、単体で角度を可変できる角度可変型などがあります。 ブレードホルダーを往復型の試験で使うと、往路と復路でブレードの摩擦状態が変わってしまうため、順目方向の往路のみ1回を測定します。

45°鉛筆ホルダー

45°鉛筆ホルダーは、JIS K 5600の塗料一般試験法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)用の治具です。使用する鉛筆は6B~6Hで試験前に研磨紙3M-P1000で先端を平にしてから試験を行います。

鉛筆硬度試験は、電子部品に使用される樹脂系の薄膜や、レンズのハードコートや、スマートフォンの防汚フィルムの評価などにも広く使用されてします。元々はペンキ・塗料の硬さ試験から始まった歴史的にも古い試験方法です。

ただし、試料によっては全く差が見られずにすべての評価が6Hになることもあるので、HEIDONでは連続加重の引掻き試験法で評価することを推奨するケースもあります。

タック性ロールユニット

タック性ロールユニットは、転がり抵抗力を測定するための治具で、粘着性のある試料表面の粘着力の差を測定するために使用します。
例えば、セロハンテープやガムテープのような粘着性を持たせた試料の表面の抵抗力を測定するケースがあります。
平面圧子のような治具を粘着力のある試料表面に接触させると、くっついてしまい相対滑りが発生しなくなるため、このような転がり抵抗力の測定が必要になります。

ロールホルダー

ローラー治具は、ブレードホルダーやロールホルダーと同様に線接触で摩擦摩耗試験をするための治具です。
接触形態には面接触、点接触、線接触がの3つがあります。点接触には片当たりの問題がない反面、圧力が上がりすぎてしまう欠点があり、面接触には圧力は低くなる一方で、片当たりがどうしても発生してしまう欠点があります。ローラー治具による線接触は、これらの欠点と長所をそれぞれ適度に持った中間的な特徴を持ち、摩擦係数測定にも非常に重宝できる治具になります。

液受けバット

摩擦測定には乾燥状態の摩擦と、潤滑下での摩擦測定があり、それぞれDRYとWETという言い方をされています。液受けバットは、WET環境における試験に使用される付属品です。

加熱装置

加熱装置は、試験の温度範囲を上げるための付属装置です。
例えば、ホットプレートのような加熱装置の上に試料を置いて、温度を200℃から300℃くらいまで上げることができます。
それ以上の温度が必要な場合は、炉壺型の加熱装置を使うこともあり、炉壺型だと最高で1000℃くらいまで温度を上げることができます。

冷却装置

冷却装置は、氷点下の環境下で試験を実施するための付属装置です。

冷却装置を使うと、-15℃や-40℃など、装置のスペックに応じて試験時の温度を下げることができます。 冷却装置を使用すると、冷却面に霜が発生することが問題になります。表面に霜(氷)が出来ると氷の摩擦を測ってしまい、サンプルの評価ができなるからです。このような問題を軽減させるために、サンプル周辺をカバーで囲い乾燥エアーを循環させてできるだけ霜が付着しないようにする工夫が必要になります。

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