据置型の小型撹拌機の中で、最も広く使われるのが汎用タイプのプロペラ式撹拌機ですが、プロペラ式撹拌機の中には、より大容量に対応した大容量タイプがあります。また同じ容量であればより高粘度の撹拌が行えます。
この記事では、その大容量タイプについて解説していきます。
モータ | 攪拌機 | 主なメリット | 主なデメリット |
---|---|---|---|
電気駆動 | 汎用タイプ | 最もお手頃な価格 | 高粘度や大容量に対応できない |
〃 | ハイパワー 汎用タイプ | 低粘度~高粘度まで、容器の大きさも幅広く対応できる | 実用場面でのデメリットは少ない |
〃 | 大容量タイプ | 大容量・高粘度に対応可能 | 標準撹拌機の中では価格が高い |
電気駆動(耐圧防爆) | 防爆撹拌機 | 防爆エリアでも安心・安全に使える | 非防爆に比べて高価になる |
エアー駆動 | エアモータ撹拌機 | 電気設備なしで使える 防爆エリアで使用可能 | エア設備も含めると最も高価になる |
大容量タイプのメリット・デメリット
ここからは大容量タイプのメリット・デメリットを解説していきます。
大容量タイプのメリット
大容量タイプはより大きな翼で撹拌できるように出力の高いモータを採用。
実験の幅を格段に広げることができます。
そのため、大容量タイプの撹拌機は以下の方におすすめです。
- より大容量の撹拌をおこないたい
- 高粘度の液体を撹拌したい
- 1台で実験の幅を広げたい
大容量タイプのデメリット
大容量タイプはモータの出力が大きくなる分だけ、価格がたかくなってしまう点です。
汎用タイプやハイパワータイプが10~20万円くらいの価格相場に対して、大容量タイプは30万円以上するのが一般的です。
高粘度タイプを選ぶ場合は、本当に大容量タイプでないと使えない用途なのか?
よく確認をしてから購入することをおすすめします。
大容量タイプの回転数と用途
大容量タイプ撹拌機を選ぶ際のポイントになるのは、回転数です。
回転数は撹拌する液体の粘度に合わせる必要があります。
回転数 [rpm] | トルク[N/m] |
5~300 | 4.5 |
10~600 | 2.2 |
20~1200 | 1.2 |
50~3000 | 0.4 |
ハイパワーの撹拌機は、5リットルから20リットルくらいの液体を撹拌するのに適していて、スタンダードの撹拌機は、5リットル以下の液体を撹拌するのに適しているのに対して、大容量タイプはそのトルクの大きさから50リットルの液体まで撹拌することまで想定しています。
■出力と撹拌する液体の容量の目安
回転数による違い
大容量タイプの回転数は、5rpm~3000rpmくらいの範囲がありますが、一般的には、粘度の高いものには低回転数の撹拌機を、粘度の低いものには高回転数の撹拌機を使用します。
回転数 [rpm] | 対応できる粘度 [mPa・s] |
---|---|
5~300 | 10000以上まで対応可能 |
10~600 | 10000以下 |
20~1200 | 2000以下 |
50~3000 | 10以下 |
以下の図は、回転数ごとに適した粘度を表現していて、さらにその粘度を身近なもので示したものです。
実際の活用事例
出力と回転数ごとの実際の用途を以下の図にまとめました。
■パワーと回転数ごとの実際の用途
大容量タイプだと、接着剤や軟膏、セメントなど粘性の高い液体を撹拌する際に用いられます。
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