回転型でも往復型でも、摩耗試験後はサンプル表面の破壊と切削を生じるので、その強弱を評価することで摩耗試験の結果を評価できます。
この記事では、摩耗試験の結果をどのようにまとめて評価をすればよいか解説していきます。
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摩擦力の変化によって評価する
摩擦力の変化は、摩耗の優劣の定量化というよりは、摩耗試験中の摩耗状態の経時変化を把握するのに適しています。例えば、以下のような往復動によって摩耗データが測定された場合、50sec程度から激しい摩耗が起きだして100secくらいで最も激しい摩耗が起きたことが想像できます。その後250secくらいからは摩耗も落ち着き弱い摩耗に移行したことが想像できます。的に明らかになりました。
このように、摩擦力の変化は摩耗がどのように進行し、摩耗形態がどのくらいの時間(または往復回数や摩耗距離)で変化したかを教えてくれます。
摩耗した体積の比較によって評価する
摩擦力の変化だけだと、摩耗量を定量化して、耐摩耗性に順列をつけられません。そこで、摩耗の順列は、摩耗試験前後の試料が失った体積の変化で比較します。
このとき、摩耗体積を単位荷重、単位摩耗距離で表した比摩耗量(specific wear rate)【単位:mm3/N・m】が摩耗の優劣評価で用いられます。
摩耗体積を求める方法として、以下2つがあります。
- 試験前後の重量変化から計算する方法
- 試験後の摩耗痕深さを粗さ計で計測し、以下の計算式によって摩耗断面積を求めてから体積計算を行う方法
ビッカース硬度によって評価する
試料の硬さを考慮しビッカース硬度Hvを加えたものを摩耗係数【単位:mm3・Hv/N・m】と呼びます。摩耗の激しさを比較する場合に使用されます。以下のグラフでは、摩耗係数によって摩耗形態を分類しています。
CCD画像の観察によって評価する
CCDカメラで摩耗痕の様子を動画撮影し、映像観察を取り入れることで、摩耗面を直接観察することができます。摩耗の形態をより明確に分類し把握するために、一般的な手法となってきました。