摩擦摩耗試験では、公的規格を参考にして試験条件を決定することがあります。
ここでは、摩擦摩耗試験でよく参照される公的規格を紹介していきます。
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JIS K 7125
JIS K 7125「プラスチック−フィルム及び シート−摩擦係数試験方法」は、1995年に制定されたISO 8295「Plastics−Film and sheeting−Determination of the coefficients of friction」を参考にして作られた規格です。1999年に制定されました。適用例として、コピー用紙のカセット内での紙同士の摩擦測定があります。
物体にかかる垂直面の抗力Wと摩擦力Fとの関係を表す係数です。数式にすると、以下のように表されます。
F=μW
この摩擦係数は材料の組み合わせや表面状態によっても変化しますし、どのような状態で物体を動かすかによっても変わってきます。そこで、摩擦係数を統一した条件で計測できるように定められた規格がJIS K7125です。
HEIDONのTYPE:14Wは、専用治具を用いることで、JIS K 7125の試験に対応可能です。
このように、摩擦力の変化は摩耗がどのように進行し、摩耗形態がどのくらいの時間(または往復回数や摩耗距離)で変化したかを教えてくれます。
JIS P 8147
JIS P 8147「紙及び板紙−静及び動摩擦係数の測定方法」は、1995年に制定された国際規格ISO 15359「Paper and board−Determination of the static and kinetic coefficients of friction−Horizontal plane method(MOD)」を参考にして作られた規格です。2010年に制定されました。適用例として、コピー用紙のカセット内での紙同士の摩擦測定があります。
HEIDONのTYPE:10は、JIS P 8147の試験方法に対応しています。幅60mm×長さ100mm、質量1000g(圧力で1.64±0.24kPa)を使用すれば、JIS P 8147の試験機となります。
ASTM D 1894
ASTM D 1894「Standard Test Method for Static and Kinetic Coefficients of Friction of Plastic Film and Sheeting」は、プラスチックフィルムおよびシートの静止摩擦係数と動摩擦係数の試験標準です。適用例として、フローリングなどの床材の摩擦測定があります。
ASTM用の平面圧子の接触面積は63.5mm×63.5mm(2.5inch×2.5inch)と規定されています。そのほかの主な試験条件は以下のとおりです。
試験環境 室温23±2℃ 相対湿度50±5%
サンプル接触面積 63.5X63,5mm
垂直荷重 200±5g
移動距離 130mm
測定回数 各サンプルで5回測定
HEIDONでは、TYPE:40をはじめとして多くの摩擦摩耗試験機にASTM用の平面圧子を用いることで、ASTM D 1894の試験に対応可能です。
JIS K 5600
JIS K 5600「塗料一般試験方法」は、1999年に制定、その後ISO 2808「Paints and varnishes−Determination of film thickness」を参考として2014年に改訂された規格です。適用例として塗膜の引掻き硬度測定があります。適用例として、外装ペンキ・塗料の強度試験があります。
試験条件は、以下のとおりです。
温度23±2℃ 相対湿度50±5%
荷重750g±10g
速度0.5~1mm/s
距離7mm以上
HEIDONでは、TYPE:18/18LなどがJIS K 5600の試験で用いられます。
JIS K 6902:2007B
JIS K 6902「熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法」は、2004年に発行されたISO 4586-2「High-pressure decorative laminates−Sheets made from thermosetting resins−Part 2 : Determination of properties」を参考に作られました。
JIS K 6902のB法で、サファイア引掻き針の針先角度を約45°,先端の丸み半径を約70 mmと規定していて、引掻き試験をする際の参考としています。
ISO12137-2:1997
ISO 12137-2「Paints and varnishes — Determination of mar resistance — Part 2: Method using a pointed stylus」は1997年に制定された規格で、塗料などの傷付性試験について試験方法を定義しています。
この中で、サファイア引掻き針の形状や荷重(0~200g)、移動速度(600mm/min)が示されています。
なお、この記事で紹介した試験を実施するのに必要となる付属品は、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。