接着強度とは?【接着強度測定の方法を解説】

物体同士がくっつく力を表す指標として接着強度があります。

今回は接着強度の詳細や測定方法などを解説していきます。

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接着強度とは?

接着強度とは、接着剤を使って2つの物質を結合したとき、その結合部分がどれくらいの力に耐えられるかを示す指標です。

言い換えると、接着剤がどれだけ物質同士を強く結びつけるかを評価するものです。

接着強度が高ければ高いほど、接合部分は外から加わる力に対して強く、分離しにくいことを意味します。

接着強度の重要性

接着強度は、私たちの生活のあらゆる場面で重要な役割を果たしています。

たとえば、自動車のボディや航空機の翼、建築物の構造部分、さらにはスマートフォンやパソコンの内部にも接着剤が使われています。これらの製品で接着強度が不足していると、使用中に部品が外れたり、破損したりするかもしれません。

そのため、製品の安全性や耐久性を確保するために、接着強度の測定が重要になるのです。

接着強度の種類

接着強度にはいくつかの種類があります。それぞれの種類ごとに異なる方法で強度を測定します。

  • 引張り接着強度:接着面を引っ張って離すときの強度のことです。引張り接着強度は、接着された物質を引っ張り、どれだけの力で接合部分が壊れるかを調べます。
  • せん断接着強度:接着面を横方向にずらしたときの強度のことです。せん断接着強度は、接着された物質が横方向の力にどれだけ耐えられるかを評価します。たとえば、建築材料の接合部分や電子機器の内部で重要な指標となります。
  • 剥離接着強度:接着面を剥がすときの力のことで、薄いフィルムやテープなどの接着性能を評価するために使われます。接着面を特定の角度から引き剥がし、どれだけの力で剥がれるかを調べることで測定可能です。

接着強度は製品の使用環境や要求される強度に応じて最適な接着剤を選定するための重要なデータにもなります。

高温多湿な環境で使用される製品には、その環境に耐える接着強度が求められますし、強い引張り力がかかる部品には高い引張り接着強度が必要となります。

接着強度の測定方法は?

接着強度を測定する方法には、いくつかの手法があります。それぞれの測定方法には、特定の条件や試験片の形状があるので、

用途に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。以下に、代表的な接着強度の測定方法について詳しく説明します。

  • 引張り試験:接着された試験片を引っ張り、破断するまでの力を測定する方法です。試験片を引張り試験機に取り付け、接着面に対して垂直方向に力を加えていきます。試験片は一般的に特定の形状に加工されており、引っ張る力が加わると、どれだけの力で接合部分が破断するかを測定します。
  • せん断試験:接着面を横方向にずらす力を加えて、接着強度を測定する方法です。せん断試験では、試験片を平板状の材料を用いて作成し、接着面にせん断力を加えます。力を加えていく過程で、接合部分が破壊されるまでの最大荷重を測定します。せん断試験は、特に部品同士が滑るような力に耐える必要がある製品の接着強度を評価する際に用いられます。
  • 剥離試験:接着面を剥がす力を測定する方法です。剥離試験では、試験片を接着面を含む複数の層で構成し、特定の角度から引き剥がす力を加えます。剥離試験は、主に薄いフィルムやテープなどの接着性能を評価するために使用されます。たとえば、パッケージングやラベルなどの製品では、剥離強度が重要な評価基準となります。この方法により、接着剤がどれだけの剥がす力に耐えられるかを評価し、適切な接着剤の選定や製品の改良に役立てられます。

接着強度を測定できる摩擦摩耗試験機とは?

接着強度を計測する手段の1つとして用いられるのが摩擦摩耗試験機です。

摩擦摩耗試験機は、材料の摩擦および摩耗特性を評価するための装置ですが、接着強度の測定にも応用されています。ここでは、摩擦摩耗試験機の基本構造、接着強度測定への応用、利点と注意点について詳しく説明します。

摩擦摩耗試験機の基本構造

摩擦摩耗試験機は、試験片を摩擦させることで、その摩耗量や摩擦力を測定する装置です。基本的な構成要素は、以下のとおりです。

  • 試験片ホルダー:試験片をしっかりと固定する部分です。
  • 摩擦力付与機構:試験片に一定の摩擦力を加えるための機構です。モーターや重りを使って力を加えます。

強度測定への応用基本構造

摩擦摩耗試験機は、接着強度の測定にも有効に使用されます。接着剤の耐久性や強度を評価するために、以下のような手順で試験が行われます。

  1. 試験片の準備:接着剤を用いて二つの試験片を接合します。
  2. 試験片の装着:接着された試験片を摩擦摩耗試験機のホルダーに取り付けます。
  3. 摩擦力の付与:一定の圧力で試験片に摩擦力を加えます。摩擦力が接着面に対して垂直方向に作用するように設定します。
  4. 破壊力の測定:接着面が破壊されるまでの力を測定します。この力が接着強度の指標となります。

この手順により、接着剤がどれだけの強度を持つかが評価できます。特に、長期的な使用環境下での接着剤の性能を確認するのに有効です。

摩擦摩耗試験機の利点と注意点

摩擦摩耗試験機を用いるとさまざまな利点があります。

  • 長期耐久性の評価が可能となる:接着剤の長期的な耐久性を実際の使用条件に近い環境で評価できます。これにより、製品の信頼性を高めることができます。
  • リアルタイムに強度を測定できる:摩擦力や摩耗量をリアルタイムで測定できるため、試験の進行状況を正確に把握できます。
  • 多様な試験条件に対応できる:温度や湿度などの環境条件を変えて試験を行うことで、接着剤の性能を多角的に評価できます。

ただし、摩擦摩耗試験機を使用する際には注意点もあります。

  • 試験条件を標準化する必要がある:試験結果は試験条件や環境によって異なるため、標準化された手順にしたがって試験を行うことが重要です。これにより、信頼性の高いデータを得ることができます。
  • 機器を校正する必要がある:正確な測定結果を得るためには、定期的に試験機の校正を行う必要があります。これにより、測定誤差を最小限に抑えられます。

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