物体の硬度を測定する方法の1つとしてスクラッチ試験があります。
今回はスクラッチ試験の詳細を解説していきます。
スクラッチ試験とは?
スクラッチ試験とは、材料の表面に引っかき傷を付け、その傷の深さや形状を観察して、材料の表面強度や耐傷性を評価する方法です。
スクラッチ試験では、ダイヤモンドやサファイアなどの硬い針を使用し、一定の荷重をかけながら試料表面を引っかきます。
試験のプロセス
まず、試料を固定し、硬い針を使って一定の圧力を加えながら表面を引っかきます。
このとき、針の素材や形状、加える荷重が試験結果に影響します。
たとえば、スマートフォンの画面に使われるガラスの耐傷性を評価する場合、ダイヤモンド製の針を使い、一定の力で画面を引っかきます。
試験結果の評価方法
次に、顕微鏡を使って引っかき傷の深さや形状を詳細に観察します。
この観察により、どの程度の荷重でどのような傷がついたかを数値化できます。
これにより、材料の表面強度や耐傷性を客観的に評価できます。
メリットとデメリット
スクラッチ試験のメリット ”簡単かつ迅速に材料の表面特性を評価できる点”
この試験は短時間で実施でき、すぐに結果を得られます。また、異なる材料や表面処理の効果を比較するのにも適しています。
スクラッチ試験のデメリット ”試験結果が試料の種類や表面状態に大きく影響されやすい”
たとえば、同じ材料でも表面の平滑さや清浄度が異なると、試験結果が異なることがあります。そのため、試験を行う際には、試料の前処理や条件設定に注意が必要です。
スクラッチ試験が必要となる場面
スクラッチ試験は、さまざまな場面で実施される重要な試験です。具体的には、以下のような場合に用いられます。
- 製品の品質管理
- 材料研究
- 規格遵守
製品の品質管理
製品の品質を管理するために、スクラッチ試験は広く利用されています。たとえば、スマートフォンの保護フィルムや自動車の塗装など、消費者が日常的に触れる製品では、表面の傷つきやすさが大きな問題となります。
スクラッチ試験を行うことで、製品の表面強度を評価し、耐久性を確認できます。
スマートフォンのガラススクリーンがどの程度の力で傷がつくかを測定し、その結果を基に改良を重ねることで、より丈夫なスクリーンの開発が可能となるのです。
材料研究
材料の研究開発においても、スクラッチ試験は重要な役割を果たします。新しいコーティング材料や表面処理技術の性能を評価するために、スクラッチ試験が行われているのです。
たとえば、防汚コーティングの開発では、スクラッチ試験によってその耐久性を確認します。
試験の結果に基づいて、研究者は材料の特性を理解し、改良を重ねることで、より優れた製品を開発することが可能です。
規格遵守
多くの産業分野では、製品が特定の規格を満たしていることを証明するためにスクラッチ試験が必要です。
例えば、ISO 12137-2:1997やJIS K5600などの規格では、塗料やワニスの傷つきやすさを評価するためにスクラッチ試験が推奨されています。
これらの規格に準拠することで、製品が一定の品質基準を満たしていることを示して、消費者やクライアントに対して信頼性を提供できます。
スクラッチ試験ができる摩擦摩耗試験機とは?
スクラッチ試験を行うためには、専用の摩擦摩耗試験機が必要です。これらの試験機は、材料表面に一定の荷重をかけながら針で引っかき、その傷を評価するための装置です。
特に、試験結果の再現性と信頼性を確保するためには、高性能な試験機が求められます。
連続加重式引掻強度試験機「TYPE:18/18L」
TYPE:18/18Lは連続加重で傷つきやすさを数値化できる試験機で、以下のような特徴があります。
- 幅広く再現性の高い試験:0~50g、0~100g、0~200gの連続加重を選択できるため、幅広い荷重範囲で試験を行えます。あらかじめ100gの一定荷重分銅を載せて、0~200gの連続分銅を併用すれば、100~300gの加重を得ることも可能です。特別な校正が不要な機械式のため、再現性の高い試験が可能です。これにより、異なる材料や条件下での試験結果を比較しやすくなります。
- 専用のデータ解析ソフト:データ解析ソフトウェア「トライボソフト」を使用すれば、引っかき時の針が受ける抵抗力を記録し、より詳細な評価が可能です。これにより、材料の表面破壊強度や引っ掻硬さを数値化できます。このデータは、材料選定や製品改良の際に非常に有用です。(18Lのみ対応)
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